ICC(国際商業会議所)の新インコタームズ2020の概要~2020年1月1日から発効

2019.09.18 弁護士 吉田 伸哉

1 Incoterms 2020 とその特徴

2019年9月10日、ICC(国際商業会議所)は、国際貿易取引の基本的な取引条件であるインコタームズ(Incoterms)を10年ぶりに改定したIncoterms2020を発表しました。Incoterms2020は、2020年1月1日に発効します。Incoterms 2020は現行のIncoterms2010と同様、11条件が2つに分類されています。

2019年9月10日、ICC(国際商業会議所)は、国際貿易取引の基本的な取引条件を定めたインコタームズ(Incoterms)を10年ぶりに改定したインコタームズ2020を発表しました。現行のインコタームズ2010の改定版であるこの新しいインコタームズ2020は、2020年1月1日に発効します。

2 FCAの維持と新たなオプション

  • FCA (Free Carrier)自体は現行のIncoterms 2010と同じですが、Incoterms2020では、海上運送の場合、買主(輸入者)は、運送人に船積みされたことを記載した船荷証券の発行を指示しなければならないとするオプションが初めて規定されました。
  • FCAは、売主の工場などでの引渡しの場合、運送人へ引き渡す時点まで売主(輸出者)が費用とリスクを負担し、その後は買主(輸入者)が負担します。輸出の通関手続は売主(輸出者)、船舶・航空機などへの積込みは買主(輸入者)が行います。他方、それ以外の場所が引渡場所として合意された場合は、その場所で貨物の引渡準備が完了した時点で、売主(輸出者)から買主へ費用とリスクが移転します。

3 DPU(Delivered at Place Unloaded)の新設

  • Incoterms2020では、Incoterms2010のDATが廃止され、DPUとなりました。DPUは、売主(輸出者)が、指定された仕向地に商品を配送し、荷降しをすることに伴う全てのリスクを負担します。荷降しのリスクも負担する点がDAPと異なります。

4 FOB・CIFの維持に伴う実務上の注意点

  • 国際海上運送のコンテナ輸送では、実務上、未だにFOB・CIFが多用されています。今回Incoterms2020がIncoterms 2010のFOB・CIFを維持した点は非常に重要です。ICCはIncoterms2010・2020共にFOB・CIFはコンテナの海上運送に使用するのは不適切としているからです。
  • 実際にも昨年、関西では台風21号で、倉庫や港湾運送業者の上屋などに保管中の貨物が高潮被害に遭いましたが、FOB・CIFで、輸出FOB保険や国内の貨物保険を締結していなかったため大損害を被った企業も多くありました[1]。FOB・CIFですと国際海上貨物保険では原則として填補されないためです。

[1] 輸出FOB保険等でも全てのリスクがカバーされるわけではなく地震や噴火による損害の場合は対象外ですが、台風21号に関してはカバーされる事案でした(昨年の台風21号の高潮等に伴う貨物の被害等へのリスクヘッジについては、物流と天災 〜地震,台風,高潮,洪水等の自然災害による貨物の滅失・損傷と損害賠償責任〜をご参照ください)。

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